『歌の翼に』!ぜひ!

 京フェスには行っていないんで『歌の翼に』の復刊話も知らなかったのだが、その話を聞くや否や柳下毅一郎さんの日記によると『歌の翼に』の復刊話が大ピンチに!!おおおこれはいけません!!微力ながら声をあげるよ!!
 『歌の翼に』は大傑作。何が素晴らしいって『アジアの岸辺』と並んで読み易い!読み易いということでは『M・D』だってモダンホラーでそうなんだが、『歌の翼に』にはより普遍的な感動がある。孤独な少年が苦難を乗り越え歌いそして飛翔するすがすがしさそして開放感は類をみないもので、ディッシュという強面の名を意識しすぎると戸惑うくらいだ。ディッシュの長編の中では、意外と地味に感じられた『人類皆殺し』、実は(恥ずかしながら)歯が立たなかった『334』『キャンプ・コンセントレーション』、面白いがやっぱり冷たさの漂う『M・D』と違って、『歌の翼に』は一番素直に楽しめた(ていうか唯一)。ディッシュの死後、主人公ダニエルに本人を重ねてしまうのは、クールなディッシュには本意ではないのかもしれない。それでも彼らしくないかもしれないこのさわやかな傑作には、何か特別なものを感じずにはいられないし、このような傑作が幅広く読まれる機会が失われるとすれば本当に残念でならないのだ。
 ぜひ!いや必ずや復刊を!!祈る!!