CKB ZERO TOUR 2K8 @パシフィコ横浜 ツアー・ファイナル

 昨日行ってきた。もちろん大満足のツアー・ファイナル。
 ツアー・ファイナル最大の驚きはスモーキーTの髪型!なんとストレートに!ショーック!(と壇上でもネタにされていた)渋谷の時はアフロだったと記憶しているのだがいつのまに。
 さて今回‘PUNCH!PUNCH!PUNCH!’から始まり‘空っぽの街角’で締めるという構成はファースト・アルバムと同じであり、常に初心を忘れない姿勢が感じられるクレイジーケンバンドにあっても、アルバムタイトル‘Zero’と合わせ並々ならぬ原点回帰意識がみられる。もちろん剣さん本人がインタビューで語っていたように、単に昔と同じことをやるというのではなく、2008年仕様でチューニングを怠らないのがCKB。例えば、昨年だったかライヴで「バンドの演奏力が向上して、ようやくライヴで‘空っぽの街角’を演奏できるようになった」というようなことをいっていて、素人ながらバンドというのは生き物のようなものなのだと知ったし、時代の変化の中で変わらず良い音楽を届けるための進化が必要なこともおぼろげに感じ取れた。
 曲としてはなんか好きな曲総ざらいといった趣で全く文句のない選曲。前回ツアーからの‘肉体関係’‘ヨコスカン・ショック’もカッコいいし、‘BRAND NEW HONDA’‘Midnight Cruiser’もやってくれた。昨日はリクエストで‘涙のデイライト’‘箱根パノラマ・ゴー・ゴー’まで飛び出した。ニュー・アルバムがらみでは‘プーナ’〜‘シャリマール’〜‘中古車’の東西似非アジアンポップ(?)メドレーのアヤシさ、‘湾岸線’+‘昭和レジデンス’のクールさ、‘猫’のアニメーション、いやいや見所を挙げるときりがないね。
 それにしてもライヴでも‘零’のカッコよさはホントに素晴らしい。賑やかなホーン・セクションとあのミディアム・テンポが最高に気持ち良いんだよな。そして毎回様々な技でファンを魅了するノッサンが今回持ち出したのはトーキング・モジュレーター!そうなんだよあの『ギタリスト大喰らい』でも数箇所で登場していたこのトーキング・モジュレーターを使ったのだ!いやいや<技のデパート>と呼びたいくらいである。ところで以前ロジャー・トラウトマン(合掌)がトーキング・モジュレーターを使っていたときはチューブを口に加えていた記憶があるが(1989年かな)、ノッサンはそうしていなかった様な気がする。方法が変わったのか、DVDが出たら確かめたい。いずれにしてもインスト部分が歌と拮抗するぐらい充実しているのがCKBの凄さだ。
 以前上記のライヴで‘空っぽの街角’を聴いて大好きな曲の一つになったのだが、まさか元ネタがジャクソン・シスターズの‘Miracles’だったとは!実は今回のツアーでイントロ部分にその歌詞が入ったので分かったのだ。知ると当たり前なのだがいやいや気づかなかった。
 ツアーでの大きな見せ場の一つは‘音楽力’でのFull Of HarmonyとISO(from I.S.O.P)のゲスト参加。ここでは世代の違うミュージシャンたちがコラボレーションをしている。思い思いのスタイルで歌っているところをみて思ったことがある。CKBの音楽は何でもありでおもちゃ箱をひっくり返したような楽しさであふれているが、ジェイムズ・ブラウンのメドレーや必ずといっていいほど演奏される‘BELLETT 1600GT’(ホーン・セクションのパートはパーラメントの‘Flash Light’)や上記のジャクソン・シスターズの様にFunk・R&Bが土台になっている。その重要なルーツにはドゥーワップがあり街角で歌うスタイルから、ヒップホップの元ともいわれている。ドゥーワップは床屋から生まれたという説もある(パーラメントの総帥ジョージ・クリントンは床屋で働いていたらしい)。床屋で待つ客が歌い始め、それに合わせて皆が歌っていたというのだ(バーバーショップというコーラスのジャンルもある)。そんなルーツを引き継ぐかのような今回のコラボレーション、こうした音楽が継承されていく一つの風景として感じられ、オヤジ音楽ファンさあのうずは感慨を覚えずにはいられなかったのだ。いい音楽を本当に有り難う!


※追記 ところで、ウィキペディア(日本)のジョージ・クリントンの項は微妙(Pファンクの項はちゃんとしてるのに。変なの)。間違っているとまではいえないけど、あの内容じゃ「下品なゲテモノだけど、理由はよく分からないがヒップホップ世代には評価されている」としか受け取れない人も多いと思う。たしかにこちらで正確に編集をするというのも不可能ではないが実際にはなかなか難しい作業なので、ジョージ・クリントンP-Funkについて今度少し書いてみることにする。とりあえず二点ほど。下品なのはまあ否定できないけど、当初ゲテモノ扱いだったのは下品+奇怪な宇宙SF趣味で訳が分からないせいだったと思う(一応スターウォーズ的な善VS悪の戦いといったストーリーのコンセプトはあったがたぶん行き当たりばったり)。それから現代ロックの最重要バンドの一つレッド・ホット・チリ・ペッパーズに大きな影響を与えた点は見逃せない。