‘シティ・オブ・ゴッド’TV視聴

 もう公開から随分経っているが、CSでやっていたものを録画してようやく視聴。
 世界的に名高い美しい観光地リオ・デ・ジャネイロ。一方、貧困にあえぐファヴェーラというスラム地区では麻薬売買や殺人が日常化し、小さい子供たちが銃を手にし、ギャングになることを夢見ている。そんな1960〜80年代の<神の街>の現実を、カメラマンになることを目指す大人しい少年ブスカペの目からあますことなく描く・・・。
 やはり衝撃的な映画である。小さい頃から暴力にさらされ、貧困と犯罪の温床となった街から逃れる術を持たない子供たちが次々に抗争に明け暮れるギャングに成長してしまうやりきれなさは何ともいえない。そうしたヘヴィな題材を、切れ味の良いスタイリッシュな映像とR&BやMPBに乗せてテンポよく描く監督の手つきは鮮やかで、引き込まれる(サントラ買おうかな)。酷薄なギャングのボス、リトル・ゼの幼少時代リトル・ダイス役の少年が時折見せる邪気のない笑顔が強烈なインパクトだ(今なら‘ダークナイト’のヒース・レジャーと比較しても面白いかもしれない)。話の主役はあくまでもギャングとその予備軍の子供たちなのだが、描かれる視点があくまでも大人しい少年からのものなので、幅広い層が視聴者になることが出来そう(まあもちろん基本的には相当凄惨な映画ではあるが)。とにかく一見の価値ありの傑作。パウロ・リンスの原作も機会があったら読みたい。
 家族をリトル・ゼに殺されて、復讐のためにギャングに協力する‘二枚目マネ’はセウ・ジョルジなんだな(以前このブログでほんのちょっとだけ言及した)。あまり顔を覚えてなかったので気付かなかった。