‘ガール!ガール!ガール!’と凄すぎるCKBブログ

 CKBのホットな新作“ガール!ガール!ガール!”についてゆっくり感想を書こうと思っていたら、剣さん自身からこれまでのアルバムの自己評価の発表というとんでもないものがCKBブログにアップされてしまったので、いちファンとしていてもたってもいられず早速‘ガール!ガール!ガール!’の感想をアップすることにした。それにしても自己評価とセールスについての忌憚ない意見を載せるという真摯かつオープン過ぎる姿勢に腰が抜けるほど驚いた。いやーやっぱスゲエぞCKB!
 さてその新作。ライブでのお披露目(SOUL TOUR 009@Zepp Tokyo)、さらに‘ガールフレンド’発売後ということで、一回は耳に入れた曲が並んだので比較的最初から落ち着いて聴くかことが出来た。正直今回は軽めだなと思った。ここ数作にある野心的なポイントとなる楽曲がないため、いい曲は多いがこれまでのCKBをなぞったような保守的なアルバムのように感じられ、若干残念だった。しかし理屈抜きに楽しい‘マリンタワー・ゴーゴー’を中心に聴いているうちに本作も充実した傑作であると印象が変わってきた。
1.VIVA女性 そんなにジロジロ見るなんてまあイヤラシイ!といった実にスケベなナンバーである(いっさい下品な言葉は出てこないのにね)。曲自体は打ち込みの世話しないリズムが特徴で、ちょっと‘パールトロン’(パール兄弟)とか思いだした。メジャーデビューのプレッシャーなんてなんのその、リラックスした快調な幕開け。エウゼビオ(『麗しのオルタンス』)のテーマに是非。
2.ガールフレンド やっぱいいですね。シングルと違ったアレンジも嬉しい。
3.うっかり八時の半太郎 副題にCold Sweatとついているようにクールなファンクナンバー。節回しに永ちゃんなどの日本不良ロックの流れを垣間見る。ファンクラブの会報には‘ガール!ガール!ガール!’の全曲解説が載っていて、この曲で初めて「愛してる」という歌詞を使ったらしく、そんなこだわりも素晴らしい。
4.昼顔 オクサーン。サイコウデスネ。
5.夕食 家族を支えるお父さんの決意と迷い。のっさんのナレーションはちょいと微妙。
6.お引っ越し ‘ある晴れた悲しい朝’は昭和40年代のマンションの間取りについての歌らしい(‘Oldies But Goodies’の下井草秀の曲解説より)が、これもそんな路線の住宅ものか。何気ないけどCKBにしか書けない軽快で切ないボサノバ。
7.熱波 夏らしいメロウでけだるいスローナンバー。愛子ちゃんの歌詞もサウンドにフィットしていていいですね。今この季節に聴いて欲しい曲。
9.SOUL通信 ミディアムテンポのソウルに乗せたCKBの音楽マニフェスト。閉塞感満載のこの時代ですが、CKBは公約違反一切無しですよ!ホントにグッときます。
10.僕らの未来は遠い過去 9からそのままつながるストレートなメッセージのあるナンバー。多少地味な気もするが11へも見事に流れていく。
11.マリンタワー・ゴーゴー あまりにいいんでアホなぐらい聴きまくっているミディアムでノリのよいダンサブルな曲。ビートは軽めで個人的には今までありそうでなかったパターンような気がしている。マリンタワーのマリちゃんというありふれたダジャレに不思議と昭和の香りが漂ってくるのがCKBマジック。
12.ギラギラ ‘湾岸線’路線でお馴染みの高速ボッサ。9〜12のつながりが実に気持ちいい。
13.小東京 会報によるとLAのリトルトーキョーでの体験がファンカデリック風の質感を伴って結実した曲らしい。自分の体験が曲になっていくというこの実地感は(以前も書いたけど)CKBワールドの重要な要素だと思う。
14.DUET これもフィーチャリングSGWでいつものレゲエ路線だけど、ソウル風味でマーヴィンフレイヴァー入りのやや甘口仕様。
15.かわいい訪問者 サビは英語の何かとかけてるんだろうけどわからなかった。やや平板かな。
16.本牧宇宙人 快調なロックンロールナンバー。HONMOKU MASSIVE楽しみ。
18.Gimme a Goldfish 金魚にまつわる曲というと‘金魚鉢’を思い浮かべるが、全然曲調は違ってハード・ロック。見事にはまった金魚売りの叫びとクラッシック・ロックテイスト溢れるギター音が素晴らしい。
19.山の音remix これ面白いねえ。ビッグバンドジャズアレンジで、JRと絡ませてくるとは。脱帽。
21.俺の夢 これまたこの厳しい世相に熱いメッセージをこめた曲。50代以上あたりに届くといいなあ。
○eye catch “Zero”の‘Precious Precious Precious’が大好きなので、♪Precious〜にグッときます。
  
前作の“Zero”もビートは軽めだった気がするが、あのアルバムは曲の連鎖を重視したクラブミュージック的アプローチをしたやや特殊なアルバム(傑作だが)だと思うので、ここ数作では本作が一番軽めだと思う。メジャー移籍で安全策をとったととれなくもないが、変に気をてらった曲が無かったのは逆にCKBの自信なのではないかと思う。ジャンルレス、と一言でいってしまうその瞬間から<ジャンルレス・サウンド>という枠組みのイメージに落としこまれてしまう矛盾。そんな難しさをこのキャリアの長いバンドが分かっていないわけはない。振り返ると横山剣はクールス・ロカビリークラブからのキャリアがある。そのロックンロール、ルーツにある昭和歌謡、Zazouでのアーバンダンスミュージックへの接近(ベスト盤での曲調とあまり数多くない当時の画像からみて、東京JAPやPINKに近い路線だったと思われる)などその音楽キャリアがミルフィーユのように何層にも下に存在するのがCKBだ。いや、ここはミルフィーユではなく飯寿司といったほうがいいだろうか。最近の数作でみられた(大層魅惑的ではあった)冒険心を少し抑えてシンプルだが熟成された味で勝負したのだろう。ホントこんな時代だから幅広い人にCKBのよさが伝わってほしいなあ。
 あとおまけのDVDについて。以前書いた昨年のツアーの大きな見せ場がそのままDVDになった。まあ誰が考えてもそうなるかな(キヨさんのダイナミックなダンスも必見)。で、年齢差コラボでシリアスに決めたあと、‘となりのねえちゃん’で笑わせてくれるところは面目躍如といったところか。しかし同じメロディでもアレンジや歌詞で随分違うんだなあ。

 さて剣さんの潔さに感動したので、全アルバムの感想を明日はアップします。
※追記 CKBの公式HPで‘VIVA女性’のビデオを観たんだけど泣けるほどアホ(絶賛)な内容で笑えます。パンツ宇宙戦争っていったい誰のセンスだよ!

※さらに追記 自己評価に個人的ベスト3が追加され、さらになんとなんと絶賛発売中の“ガール!ガール!ガール!”の自己ベスト10まで登場。脱帽モンです。あと8月8日の収録って由比ヶ浜だったのね。ああ気づいてなかったわ(←鈍すぎ)。行けばよかった・・・