CKBバックナンバー感想その1〜CKBとの出会い編〜

 CKB、CKBなんて今はいっているけど実は2003年にファンになったばかりなのである。それどころか以前には一回は聴いた上で好みに合わないとパスしたことすらある(以下に記述)。
 音楽雑誌などで、子供のころ育った横浜にかなりイケてるバンドがあることを知ったのはたぶん2000年ごろだったと思う。(それなりだが)地元愛を持つ当ブログ主は何となく気になっていた。ただ仕事に追われていて、さらにロック色のあるグループを避けようとしていたので、強い興味の対象とはならなかった。そした2002年ようやくアルバム“GT”を手にするが、独特のユーモアが漂う歌詞がどうにもピンと来ず、ライブの定番曲であるタイトル曲も能天気なロックにしか聴こえず、そのまま脳内で<よく分からないバンド>のエリアに放り込んだ。ただ有難かったことに当時仕事の関係で住んでいた栃木県足利市の近所の小さいレコードショップには何故かCKBの全アルバムが並んでおり、行く度毎に「も一度買ってみなよ」と囁きかけてくるのであった。そんな中ブーツィ・コリンズのアルバムに剣さんのコメントがついていて、ああこの人は「分かってる」人なのだと知って、<全国の肉体関係者各位>という一節に噴き出して手に取ったアルバム“肉体関係”によって、今度は本格的に追いかけるようになったのである。というわけで、CKBについてはまだまだ知識が浅いところもありますがお許しください。で、結局アルバム“777”まではあとから聴いた状態(“777”は2003年発表だが、さすがにその頃は本格的なファンではなかったので少し遅れている)。ひとまず後から聴いたその7枚の感想。(剣さんご自身の紹介にならって5段階評価してみたが、多少色をつけてみる意味で1/2もいれてみた)

○クレイジーケンズ・ワールド(1998年リマスター)☆☆☆ 結構早くに買ったけど、一聴して(ジャケットもそうだけど)自主製作関連のもの(実際は自主製作のリマスター版)だと気づいたので、しばらく温めて、一通りCKBサウンドを押さえてから聴きなおした。ある程度現在に通じるサウンドの確立が認められるものの、お馴染みの‘ベレット1600GT’の打ち込みを中心とした音づくりや‘スージー・ウォンの世界’のダブミックスとかCKB前夜のサウンドとして興味深い。‘今夜はブギー・バック’のようなビブラストーンのような‘黒猫のファンク’が印象的。その他洒落たミディアム・ソウル‘ブライト・スパークス’、バラード‘渦’は今聴いてもかなりいい。

○Punch!Punch!Punch!(1998年1stアルバム)☆☆☆☆ 実はちゃんと聴いたのはそんなに前ではない(最近というほどではないけど)。記念すべきデビューアルバム。デビューアルバムにはそのバンドの全てがある、なんていうけどそんな感じの力作。音の広がりとか物足りない面もあるけど、このバンドでやっていくんだ!という熱い思いが溢れている作品。2曲目なんて‘暴動’だからね。‘長者町ブルース’‘葉山ツイスト’‘イカ釣り船’‘けむり’‘SEXY SEXY MAMA’なんて重要曲が並ぶ歴史的な名盤。以前ライブで聴いた‘空っぽの街角’(〜‘パンチ!パンチ!パンチ!’)の素晴らしさとその時の「ようやく最近イメージ通りにこの曲が演奏できるようになった」という剣さんのコメントが忘れられない。あ、‘踊り子’も好き。


○Goldfish B
owl(1999年2ndアルバム)☆☆☆  ‘金魚鉢’がsoul電波tourで巧く組み入れられていたところでは本当に感心した。その他大好きな‘ウォーカーヒルズ・ブーガルー’、最近のCKBとは違うテイストだけど80年代ごろのR&Bっぽくていい‘昼下がり’‘Love Unlimited’、佳曲‘箱根パノラマ・ゴーゴー’‘松並木ストラット’も入ってる悪くないアルバムだが、ジャケットが地味で全体の統一感も欠いている。剣さんの紹介でもレコーディングの苦闘が語られているので、原因はその辺だろう。セールスもアウトだったらしい。アキ・カウリスマキ監督の映画で使われていた‘ハワイの夜’も忘れていはいけない。

○ショック療法(2000年3rdアルバム)☆☆☆ 個人的にはこれが一番印象が弱い。のだが、‘ハンサムなプレイボーイ’‘あるレーサーの死’‘発光!深夜族’‘コロ’‘世界の半漁人’‘レッドライト・ヨコハマ’って並ぶとやっぱり二つ星はつけられないなあ。レア・グルーヴ的に‘本牧仕様のサーファーガール’あたりもね。“Goldfish Bowl”を気に入った小西康陽CKBを救済したというのだから、偉すぎる。

○肉体関係(2001年マンモスシングル)☆☆☆1/2 CKBの先行きに不安を持った剣さんがそれでも曲が出来て、いろいろあってマンモスシングルとして出したアルバムだそうだ。個人的にはここからCKBファンになった思い出深い作品。基本的にはリミックスアルバムで、後半なんかほとんど聴かない曲も結構あるが、‘肉体関係’‘ウォーカーヒルズ・ブーガルーAkasaka Latin Quarter Deluxe’‘発光!深夜族 Honmoku'69tune’‘金魚鉢 L.B.B's Dub Siesta’‘かっこいいブーガルー’‘あるレーサーの死 Audiomusica N12’あたりはホントによく聴いた。特に‘ウォーカーヒルズ・ブーガルーAkasaka〜’でビート感がテクノっぽいところに驚いて、そのあとリミックスだけでなく原曲自体にもそういった要素があるのでさらに驚いた。ブーガルーという古いジャンルの音楽を新しい視点で捉えなおしているという新旧混合したCKBのユニークさがよく出ている。

○Gran Turismo(2002年4thアルバム)☆☆☆☆ 最初分からなかったアルバムなのに4つ星評価とは気が引けるが、やっぱり傑作ですね。何せ‘GT’‘スポルトマティック’‘お・ん・な’といった定番曲が入っているので。自動車ホラーロック‘透明高速’(これまた‘Oldies But Goodies’の下井草秀の曲解説より)、高速ボッサ路線の原点‘昭和レジスタンス’、初期の‘黒猫のファンク’をGファンク化させたような‘夜の境界線’あたりも好き。このアルバムから万能キイボードプレイヤー4様こと高橋利光が参加、サウンドに厚みが増す。音色の選択とか素晴らしく、今やかなり要的存在と言えると思う。それにしてもなんでこのアルバムの良さが初めはわからなかったんだろうなあ。「見えているのに気付かない」というやつかな。

○777(2003年5thアルバム)☆☆☆1/2 それほど遅れずに聴いてはいるアルバムだが、まだCKBに入れ込んでいなかったので少々違和感を感じていた記憶がある。昭和歌謡の人と勝手に思っていたので「昭和77年」とかなんだか後ろ向きだなあ、というような印象があった気がする。その後必ずしもそれが本質ではないことが分かったのだが。この作品以降の音づくりが現在のCKBと直結している感じ。メンバーの定着という意味でも地続き。
‘7時77分’‘Brand New Honda’‘I Like Sushi’(←最高!) ‘爆発!ナナハン娘’の冒頭の流れに勢いがある。怪しい‘夜のヴィヴラート’、意表を突く大韓ロックのカヴァー‘美人’、バラード‘横顔’、クサくないメッセージソング‘あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ’あたりもいい。中学2年でつくったという‘イタリアン・ツイスト’は剣さんは入れるのに迷いがあったようだが、いいアクセントになっているし、小学生の息子のお気に入り曲であります。

で、アルバムの感想その2へ続きます。