スタッフ・ベンダ・ビリリ@よこすか芸術劇場

 以前から江ノ電の中づり広告を見て、横須賀に来るこの人たちいったいどんなミュージシャンだろうなあと思っていた。ツイッターで評判になっているので、ググったりしたらワールドミュージック界で昨年から話題になっていたことに気づいて、近いし席が開いていたので行ってみた。すごいですよこの人たち、行って良かった。
 大まかなプロフィールかこちら。彼らはコンゴの車椅子&路上生活者によるバンド。厳しい生活環境の中、手づくり楽器などを使って独特のファンキーミュージックをまさに路上で演奏し続けてきたのだ。
 さて公演だが、楽器の編成はいたってシンプル。空き缶と木に弦を張った不思議な音の出る手作り楽器サトンゲサウンドの特徴となっている他はギター・ベース・ドラムにヴォーカルといった感じ(ドラムも手づくりなのかポコポコと可愛らしい音質)。
 しかし演奏が始まるとそのファンキーラテンなノリの良いサウンドに幅広い年齢層の観客が次第に熱狂の渦に包まれてくる。ギミックなしに自然に会場が盛り上がってくる様子はあまり経験したことのない感じだった。アフリカ音楽などワールドミュージックにはそれほど詳しくないのだが、かなり現代的で洗練されているという印象。おそらくストリートで鍛えられたためだろう。ビートがあって親しみやすく様々な人が惹きつけられる間口の広い音楽だ。車椅子・杖で踊りまくる
 ステージの背景に一部歌詞の訳が映し出されていたのだが、その内容も「ポリオワクチンを受けよう」(彼らの障害の多くはポリオによるものらしい)「ギャング団に入るなよ」「きちんと働こう」「段ボール生まれのオレ、だけど夢はあきらめるなよ」など実体験に根ざしたもので、シンプルかつ力強い。
 なんというか音楽の力というものをひしひしと感じさせる公演だった。バンドの成り立ちからすると背景のシビアさもさることながらちょっとイキがったアンちゃんが子分をひきつれて音楽やっているみたいなところもある(ちゃんとした車椅子が無いので手動の手づくり三輪車型車椅子を使っているメンバーの集合写真はバイクにまたがったロッカーのアルバムジャケットのようだ!)。彼らの音楽にはそんなやんちゃなところとシビアな現実とポジティヴなメッセージ性が融け合っていてそんなところがたまらない魅力となっている。実は映画は未見なのだ。みないとな。

彼らのライヴ映像。



サトンゲを作ったメンバーのロジェの演奏のアップ。