『エンダーのゲーム』オースン・スコット・カード

宇宙からの侵略者を撃退すべく、地球では子どもたちの中から優秀な司令官を育成するプロジェクトが行われていた。僅か8歳にして天才的な能力を示し地球の反撃の切り札として期待されたエンダーは特殊な教育を受ける。才能のある少年兵が否応なく戦争に巻き込まれるというアニメなどでお馴染みの設定の小説。作者のカードは抜群のストーリーテラーで、この作品でも厳しい訓練とエンダーの天才ぶりと周囲の嫉妬による苦悩などがよく描かれ、割合厚い本なのだがスイスイ読み進められる。また無重力でのアクションシーンなどにも臨場感がある。またカードは敬虔なモルモン教徒でもあるので終盤になると戦争における倫理の問題がクローズアップされる。そこまでの部分がリーダビリティは高いものの多少長いかなと思ったが、その分そうした倫理面のパートが語られる時に重しとなる感じもあってこの長さはやはり必要なのかな。ただ救いへと流れる辺りには不信心な自分には多少違和感があり、同じ戦争SFでは戦争終結のための驚くべき解決法が提示されるホールドマンの「終りなき戦い」の方が優れていたように思われた。で、エンダーの続きの前に同じく未読のホールドマンの「終わりなき平和」の方を読みたくなってしまった(笑)。