DVD‘メロトロン・レジェンド’

プログレや楽器には疎いが、「昔使われた最新楽器」というレトロフューチャー的な機械っぽい匂いがする上に謎めいたところがあって非常に気になっていたメロトロンについてのドキュメント。なかなか面白かった。テープを使った初期のサンプルマシーンというような感じだろうか。ハリー・チェンバリンという人が家庭演奏用に開発したものだったが紆余曲折を経てメロトロンになる。プログレなどロックミュージシャンに愛されるが不安定さとシンセサイザーの発達で衰退。90年代に入り若手ミュージシャンに再評価され、新しい形で復活をする、といった流れ。アナログさの残った不安定性が逆に味として再評価されたという話は興味深いなあ。デジタルシンセサイザーより不安定なメロトロンの音を出すソフトがあるというねじくれた話など、機械と音楽と人間の不思議な三位一体の関係を感じさせるエピソードが想像力を刺激してくれるユニークな音楽ドキュメント。ちなみにプログレ時代に使われすぎて大仰なプログレの代名詞になってしまったとか、チープトリック結成前(ほとんど聴いたことのないフューズ!)でメロトロンを使っていたリック・ニールセンの話とか、90年代に使っていたミッチェル・フルームの話(当時使われすぎたらしい<プログレ時代と同じじゃん)とか、いろんな意外な楽曲に使われている(たとえばマーヴィンのマーシーマーシー・ミー)らしいことなども印象に残った。