『モルグ街の殺人事件』 エドガー・ポー

 古典中の古典を読んでみた。古い方の訳本。
「モルグ街の殺人事件」ミステリのはじまりである作品だが、事件解決への論理展開は少々難解なところもあってなかなか手強い作品だ。密室を扱ってることや人間の盲点をついているところとか興味深い。まあ古典といわれてるんだから当たり前なんだけど。
「落穴と振子」宗教裁判により地下牢へ入れられた主人公。これは怖いねえ。イメージが鮮烈。
「マリー・ロジェの怪事件」タイトル作と同じデュパンものミステリ。こちらの方は難解なところは少なく読みやすい感じもあるが、解説にもあるようにちょっとごちゃごちゃしていて分かりづらい。
「早すぎる埋葬」その名の通り、生きているまま埋葬される恐怖を扱ったもの。断片的なエピソードが並んでエッセイの延長線みたいに感じる。ラストは少々アレ?となるが、早すぎる埋葬を怖れるあまりにとる強迫観念に満ちた行動のくだりとか面白い。
「盗まれた手紙」これもデュパンもの。腹黒い大臣が高貴な方を陥れるために盗んだらしい手紙を探すミステリ。これは読みやすい。心理的なトリックとかが扱われている。
 古い訳の方で読んだせいか多少読みにくいところもあるが雰囲気があったともいえるかも(新訳の方は読んでいない)。ミステリの古典ぶりよりホラー方面の方が印象に残り、はからずも自分がミステリ体質を欠くことが確認されてしまった(笑)。