『隻眼の少女』 麻耶雄嵩

 独特な信仰が息づく栖刈(すがる)村で起こる殺人事件。解決を依頼されたのは巫女装束をまとった隻眼の美少女探偵御陵(みささぎ)みかげ。わけありで村を訪れ事件に巻き込まれた種田静馬とともに事件の解決をはかるが・・・。
 閉鎖的な村で起こる殺人事件ということでちょっと横溝正史を思わせるが、そこはそれ。話は(やっぱり)お口アングリ方向へ。全くむちゃするよ、この人は。各所で賛否が大きく分かれているのも当然だろう。また不満を覚える読者の中でも、アンフェアだという人もよくあるアイディアだという人もいるだろう。個人的にはこの人の最高傑作というほどではないと思うけど、意外だったし十二分に麻耶ワールドを堪能した、という感じ。
 麻耶作品ではいわゆる謎解き(フーダニット、ホワイダニット)の部分もさることながら、災厄小説としての側面も読みどころ。登場人物たちは誰もロクな目に合わないところが真骨頂で、この作品も期待(?)を裏切られなかった。