ゲンスブールの音楽

 先日ゲンスブール伝記映画を観たが、ゲンスブールの音楽は非常にリズムが豊かで面白い。非英米圏のミュージシャンがやる音楽は土着色が強くて面白かったりする場合もあれば、ダサいロックの出来損ないみたいになってしまうケースがあって、比較的経済的に豊かな国で後者のパターンに陥る印象がある。が、ゲンスブールはジャズ上がりなせいかロックの呪縛を軽々乗り越え、独自の音楽を作り上げている気がする。個人的に、多様な文化が集中して音楽も盛んだったということからパリからロックが生まれた歴史を妄想したことがあるが、そのイメージにピッタリなのがゲンスブールだ。ありえたかもしれない別のロック史を幻視させてくれるのがこの人の音楽である。