『SF文学』 ジャック・ポドゥ

フランスの文学研究家によるSF史紹介本。
海外SFファンとしては手堅くコンパクトにまとまったハンドブックでかつ仏流ということで登場する作品がやや毛色が異なっているのでこれからも参照したくなる内容。仏作品情報は貴重だし、英米作品も多少これまでの本と紹介されているものが違うところが個性的で何より2000年代の紹介本であることが嬉しい(最新とはいえないかもしれないけどSF史に関する本として邦訳されたものとしては新しい方だと思う)。非常に多くの本を消化している人であることが伝わってくるのも好感。アジアや日本への言及が無いという意見も目にするが、それは実際のところ難しいんではないかなあ・・・。それから内容が羅列にとどまっているのはこの分量ではやむを得ないだろうし、これまでのSF紹介本と評価が違っていたりするところはむしろ楽しみどころでしょう。