最近テレビで観た映画

メモ書き。
「ネスト」(2009年) 比較的最近のホラー映画。ケビン・コスナー主演。これはやっちまった感じの映画。久々にこういうモロ外ししてるの観た(笑)。思わせぶりで引っ張るわりに心理サスペンス的な演出も失敗しているし終盤のアクションももっさりしている。オチにも脱力(理屈もあってない)。全体として人間ドラマとして別角度から捉え直してみたとしても、女房に置いてかれ独り身になって子育てに苦悩するもただオロオロしてるだけのとーさんにしか見えない(笑)。最後に出てくる怪物がショボいのが根源的ながっかりの理由ではあるのだが、それ以外の部分でこけおどしやゲテモノっぽさが控えめなのもダメな理由だろう。特に序盤は大人しめで、もう少し質の良いものを逆に期待してしまうんだよな。あるいはいったん怪物出したら、終盤は笑えるくらいたたみかけないとねえ。いろんな意味で失敗してる。

「コニャックの男」(1971年) ジャン・ポール・ベルモンド主演。18世紀末の革命で揺れる時代に調子よく生きる男の話。紹介文にはコメディという文句を見かけ、たしかに主人公と妻のスクリューボール・コメディ的な話が中心にあるが、人はバンバン死ぬしあんまり腹から笑えるような作品でもない。一方製作費のかけられた歴史劇の要素やアクションもある。というわけで観るポイントがはっきりしないという点では根本的な問題がある。が、人海戦術の撮影は昔ならではでそれなりに映像には見応えがあってまずまず楽しめた。ラウラ・アントネッリも出ている。眉毛の濃いサミー・フレーはどことなく郷ひろみを思わせたが、声もなんとなく似ていた(笑)。

セーラー服と機関銃」(完璧版)(1982年) 実は相米慎二監督だったのか。不勉強にも知らず初見。いやーこんなに面白い映画だったのか。アイドル映画の要素もちゃんと入っているが、そうじゃない部分に非常に見せ場が多い傑作。全体としては雨などしっとりした日本らしい家や風景のシーンが印象的で意外なほど日本情緒にあふれている作品。伝統的な日本映画から現代日本映画に移行するあたりに位置づけられるのではないかと考えたりもした(詳しくないけど)。当初の公開版に比べ19分ほど長いようで、そこがどこかは分からないが日本的な部分と後半の新興宗教施設がらみのモダンな部分とやや盛り込み過ぎな印象もあり削りたくなるのはなんとなくわかる。ただその分監督の幅広いセンスも感じられる。数本程度だがこれまで観た80年代アイドル映画では一番面白かった。渡瀬恒彦柳沢慎吾柄本明、風祭ゆきといった脇役陣の他にも酒井敏也(フサフサで誰か分からないくらい・・・)、斎藤洋介(こちらもアップにならないので声でようやく分かる)あたりが出ているのも見どころ。

※さらに追記
「人生万歳!」(2009年) 舞台はNY。メンタルを病んでいる気難しい物理学者の元に田舎から出てきたばかりの若い娘が転がり込む。ウディ・アレン監督作品はあんまり観ていない。皮肉満載ながら比較的穏当なユーモアによるウェルメイドなコメディ。英語をちゃんと聞き取れるともっと楽しめるんだろうなあ。

「第三の悪名」(1963年) 勝新田宮二郎コンビによる悪名シリーズの第5弾。二人の軽妙なやり取りが見どころ、と思って観たらこれは割とシリアスな話だった。長門裕之演じる大学出のインテリやくざに時代遅れと評されたり、そういった意味でも時代の移り変わりという面も表現されて、少々重い。まあそれでも時おりのぞくドスの利いた勝新の凄味はやはり唯一無二。でもやっぱり座頭市シリーズの方が好きかなあ。昭和の風景も風情があって、旧型電話(話す部分は本体にあって、管にラッパみたいなのがついてるので聞くやつ)の公衆電話には眼をひかれた(笑)。