映画『ジャンゴ 繋がれざる者』

 1858年、南北戦争の2年前。歯科医から賞金稼ぎになった早射ちの名手シュルツはお尋ね者の顔を知る奴隷ジャンゴを探していた。妻への仕打ちから反抗し奴隷商人により奴隷市場に売られようとしていたジャンゴをシュルツが見つけ、(強引に)解放奴隷にしてしまう。シュルツはジャンゴを賞金稼ぎの伴とし、やがてジャンゴは黒人賞金稼ぎになり、二人はジャンゴの妻を探し奪い取る計画をする。

 

 西部劇は初めてなので過去のそういった作品との比較は出来ない上での感想。西部劇自体ネイティヴアメリカンに差別的な要素が含まれるだろうしその上黒人ガンマンを主人公としてさらに黒人悪役まで登場させるというのはかなりデリケートな内容のはずだが、それをタランティーノは独特の娯楽性でそんなハードルも飄々と乗り越えてしまう。例によって血まみれでかなり無茶苦茶な話だが大変面白かった。クリストフ・ヴァルツは『イングロリアス・バスターズ』とな違って今度はいい役だが、やっぱり素晴らしい。ジェイミー・フォックスはカッコいいしデカプリオにサミュエル・L・ジャクソンの悪役ぶりも見事だった。相変わらず音楽のセンスが抜群にいいのだが、今回馬が出てくるシーン、荒野や雪山で時にハッとするほど美しいシーンがあって印象的だった。西部劇というのはそういう風景の美しさがあるのかもしれないなあ。他の西部劇も観ないとな。

※追記(3/27)ややネタバレ(細部の)気味だけどデュマがクレオールだというのは不勉強ながら知らなかった。デュマも読まないとなあ。ディレイニーあたりはどう思ってたのかなあ(簡単にググったぐらいでは出てはこないが)