映画‘ブラック・ダリア’

 熱心な映画ファンとは口が裂けてもいえない当ブログ管理人だが、ブライアン・デ・パルマは自分の中では好きな監督に属する(とはいっても劇場で観たのは6作)。初めて観たのは‘殺しのドレス’。華麗な映像テクニックと変態性あふれる作風にやられ、トラウマになりつい3回ぐらい観てしまった。個人的に気に入っていたのはむしろ‘ミッドナイトクロス’の方。暗い話だけど、低迷期のジョン・トラボルタの冴えない音響係ぶりがいい感じで、これまた3回ぐらい観たかなあ。その後も新作は時々観ていたけど、1980年代初めの濃ゆい味が感じられなくなったような気がして何となく印象が薄かった。また住居が東京近郊ではなくなったので、なかなか映画自体を観られなくなっていたということもあった。でもあまり期待しないでたまたま観にいった‘ファム・ファタール’が無理やりのストーリー展開をはじめセルフパロディかっていうぐらいのデ・パルマぶりで、正直なところ大傑作とはとても言い難いんだけど、何はともあれ‘らしさ’があり、またこの人に興味が出て来た。
 で、この‘ブラック・ダリア’。まずはデ・パルマらしさの出た良作だと思う。捜査する過程で、被害者の映像をみるシーンが繰り返し出てくるところなんかはホント変わっていないよなあ。ただ、これみよがしな映像技や信じられない展開は(これでも?)少ない方で‘ファム・ファタール’に比べるとやや地味な気もする。まあ映画秘宝を読むと映像に関してはやはり色んなテクニックは使われているみたいだけど。そこでの対談でも言われていたけど、もともとデ・パルマ作品には妙にロマンチックなところもあって、その辺りは評価が分かれるんだろうなあ。それでも、らしいネタに恵まれ、らしい作品になっているので十分に楽しめた。原作も読まなきゃ。