『テクニカラー・タイムマシン』 ハリイ・ハリスン

 映画監督バーニイは、つぶれそうな映画会社クライマックスにタイムマシンを使っての映画作りを持ちかける。何とか『ヴァイキングコロンブス』製作が船出となるが、トラブル続きの上に後戻りは出来ないし、というお話。大男のヴァイキング、マッド・サイエンティスト、逃げ腰の社長、ちょっと足りなめのセクシー女優、ナルシストなイケメン俳優、暗い出納係、言語学者などなど濃ゆい登場人物がテンポの良いドタバタ劇を繰り広げる。ハリスンは(これまた不勉強ながら)初めて。『ヴァイキングコロンブス』で当たりそうだと思うか?とか中で登場する怪しい時間理論の出来はともかくとして、ウェルメイドなコメディで快作ですね。そこかしこに漂う皮肉もほどよく効いている。モンキーパンチの挿絵もピッタリ。こうした反骨精神あふれたポジティブな主人公というのが今の時代にうけるかどうか微妙な感じはあるが、まあこれは余計なお世話でしょう。