‘Music for Chameleons’ Truman Capote

 細々と読み進みようやく読了。3ヶ月くらいかかったかなあ。
とはいえ、こちらが怠惰で英語力が乏しいだけで、基本的に読みやすい。会話の部分は、シナリオのように誰のセリフかわかるように書いてあるし。いちおうノンフィクションという触れ込みだが、小説のように書かれているものも目立つし、まあフィクション的な部分も含まれているのかもしれない。どちらかはそれほど気にならない。全体によく作りこまれているというよりは、さらっとスケッチのように描かれているものが多い。とはいえ孤独と純粋さと残酷さと下世話さがない交ぜになったようなカポーティワールドが十二分に感じられる。以下印象に残ったもの。

‘Hospitality’ 短いが、小さい頃から犯罪者との接点があるのが、らしい。
‘Handcarved Coffins’ 全体の1/3を占める。手彫りの棺を事前に被害者に送りつけるという連続予告殺人事件の話。ノンフィクションということらしいが、ホントにこんなことがあったのだろうか。ラストまで引くつけられる緊迫感がカポーティならではの傑作。
‘Hello, Stranger’ 見知らぬ少女からの瓶に入ったメッセージを拾って・・・という話。おぞましい結末に背筋が寒くなる。
‘A Beautiful Child’  マリリン・モンローというのも光と影を感じさせるカポーティ好みの素材だ。
‘Nocturnal Turnings, or How Siamese Twins Have Sex’ 内容は奇妙な自己対話的エッセイだけど、「ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド」を並行して読んでいたから偶然に驚いたよ。あるものでは「ロリータ」への言及もあり、偶然続きの奇妙な体験だった。
 エッセイでは、いろんなセレブリティの名前が出てきて(三島由紀夫まで会話に登場する)面白い反面、有体に言えば俗物ぶりもうかがえる。まあそんなところもいかにもカポーティなのだが。