『Self-Reference ENGINE』 円城塔

 話題の本なので手を出した。意外と流行りものも気になるのであった。
 フクザツなことは分からないので、結局のところ大層よく分からない話ではあった。
 しかし楽しめなかったということはなく、ひんやりとした冷たい笑いの漂う奇想小説といった楽しみ方もできる話であった。どこへ行くのか見えない話の展開や、思っていたより多彩な語りぶりに感心。ボルヘスのようにもカルヴィーノのようにも感じられるところもあったりする。Freud、Bomb、Yedoあたりが面白かったかな。特にYedoには意表をつかれた。下敷きとなったSFネタも目に付くように提示されているので、SFファンであればまず楽しめるのでは。
 もう文學界新人賞をとっているそうだ。何はともあれ注目の新人であることは間違いない。