映画‘ティファニーで朝食を’(TV視聴)

 NHK-BSでやっていたので観た。
 なんとなく原作とは違いそうだと思っていたのだが、予想通りだった。原書で読んだので細かい筋には自信がないが、おおむね流れは同じだったように思う。ただ肝心なところやら演出やらで原作のダークな部分が丁寧に排除されており、全体としてまったく印象の違うものとなっている。要は思いっきりポップにアレンジされいるのだ。主人公はちょっとした都会の孤独を楽しむ無邪気なお嬢さんにしか思えない。永年名画として人気があるのだからまあ今更文句をつけるのもばからしい気もする。ただカポーティの資質が誤解を受ける一因にはなりそうだが。華やかに都会暮らしをする女性という現代でも通じるモチーフを提示しているだけでもカポーティの天才がうかがえる、とファンとしては言っておくか。
 おもちゃの指輪に模様を彫るという無茶な要求にティファニーの店員が応える、というシーンがある。ティファニーのCMとして非常によく出来ている、と同時になんと実質的にやすくついたCMだろう。