『コンピュータ・コネクション』

 他の長編より軽いとの漠然とした印象を事前に持っていたが、意外とアイディアの密度が濃い。実は一読で十分に消化しきれていないが、コンピュータの反乱に立ち向かうヒーローとそのラブロマンスといった図式がふまえられていてらしい仕上がり。一般的に言われているように、情念の部分が『虎よ、虎よ』に比べ淡白なので地味な扱いなのでしょうね。主人公が有能な人物をいったん殺してから不死人にするという悪漢であり、他に萌え系キャラのフィー5(あらゆる人の想念を抽出することが出来る)ネアンデルタールの不死人ヒックーヘック‐ホック(その発音しか出来ない?)ジェシー(キリスト)、ネモ船長、アメリカインディアンのファミリー、帰納法の天才ヒレル、マフィアのカポ・リップなどなどコミック関連の仕事でならしたベスターならではの強烈なキャラクターが楽しい。得意のタイポグラフィックもライトに組み込まれており、再刊の噂が実現するのを熱望。