『Boy's Surface』 円城塔

 読み終えてなんかいいたいんだけれどもいうことがない。
 短編集なのだが、それぞれの短編が何の話だかよく分からないのである。それでも表題作は盲目(盲視?)の天才数学者の恋愛物語という筋という枠が感じられるが。
 人を落ち着かなくさせる小説である。基本的にこちら読者は作者のたくらみを自分なりに読み取っていくしかないのだが、その非対称性が著しく大きく作者のたくらみが読み取れない。さらに作者が理路整然と話を作り込んでいるのが明らかで意図的にわかりにくくなっているのだから、なおさら居心地が悪いのだ。(いやわかりくくしてるつもりはないのかな?ああ術中にはまってしまっているようだ・・・)
 中ではチューリングとロリータ(!)がネタになってるメタフィクション(なのかな?)‘Your Heads Only’が一番面白かったかな(もちろん細部を楽しんだ程度だけどねえ)