『月は無慈悲な夜の女王』 R・A・ハインライン

 昨年夏祭りで収穫した大量のSF古本。ほとんど積読状態になっているが、なんとか少しずつ消化を。というわけでいまさら(SFのちょう有名な作品を読む)シリーズとして本作を読んだ。
 2075年の地球の植民地として富を吸い上げられている月世界。圧政の中、自意識を持つコンピュータの力を得た月世界人は独立に向け立ち上がる!
 長めの作品だが、そこはハインラインなのでさくさく読める。ただ微妙なのは、今からみるとコンピュータがやはり擬人化されている印象。当時としてはきっと斬新なんだろうけどね。人間個人のアイディアと不屈の精神で諸問題を解決する、といった流れはまあアメリカ人だしハインラインだしこんなところかな。ただ巧くいえないが、政治的なテーマも現在の世界における諸問題と多少立脚点が違ってしまっている感もある。
 
 ちなみにオールドSFファンはよく知っているのだろうが、原題の直訳は‘月はきびしい女教師’。ちょっと訳題で得をしているのでは。