‘漂流 本から本へ’

 朝日新聞で連載中の筒井康隆のエッセイ‘漂流 本から本へ’が大変面白い。毎回、少年時代に読んださまざまなジャンルの本(日本作家、海外作家を問わず、もちろんマンガも入る)がその頃の思い出とともに語られるというもので、一種の自伝にもなっている。もともと評論やエッセイでも定評のある作家である。しかも、いかにしてあの筒井康隆の基盤がつくられたのかが明かされるのだから面白くならないわけがない。なかでも笑ってしまったのが、メリメの「マテオ・ファルコーネ」の回である(作品のオチを含んでいますが、アサヒコムでも読める)。
 これ以降、悪さの絶えない子供がいる家では低い声で「マテオ・ファルコーネ」と言うのが流行っているらしい。<うそ