『宇宙怪人ー少年探偵』 江戸川乱歩

 昨年末から出ている<少年探偵>シリーズの懐かしい装丁での文庫版。以前から気になっていたのだが、今回初めて購入。表紙の絵は柳瀬茂(今まで意識してなかったけど)で、もうこの絵柄だけでいろいろ思い出す。多くのミステリやSFファンのご多分にもれず、このシリーズが当ブログ主の読書の原点である。何巻読んだか同級生と張り合った覚えもある(その時のライバルだったカメちゃんは今どうしているだろうか)。図書室は古い木造の校舎の一角にあって、雰囲気もばっちりだった。その後ほどなくして校舎は取り壊され、しばらくバラックで授業を受けていたなんてことまで思い出した。
 閑話休題。さてシリーズの中で何を買おうかと迷ったが、はっきりとした内容までは覚えていないものの一番印象が強かった『蜘蛛男』はこの文庫版にはなかったので(残念)、SFファンとして『宇宙怪人』を買ってみた。
 銀座の空に空飛ぶ円盤があらわれ、中からはねのはえた大トカゲのような怪物が!やがて世界中に空飛ぶ円盤は出現、気味の悪い銀仮面をかぶり人間に変装したトカゲのような宇宙怪人が次々に誘拐を行う。助けて明智先生!
 あれ?再読のつもりで手にとったけど全然内容を覚えてないぞ。まあ何にはともあれ、あやしい宇宙怪人大活躍のなかなか読みごたえのある作品だった。もちろんツッコミどころは随所にあるわけなんだが、いやーこれが自分の原点なのだと再確認してしまったよ。時に暴走気味で予想の斜め上をいく展開、やたらと大仕掛けなマシンの登場、少年向けでもきちんと倒錯的なシーンの折り込み、などなど懐かしい上に随分影響を受けているなあと実感。この他表紙絵がイイ感じなのは『妖怪博士』『サーカスの怪人』『魔人ゴング』かな。みんなイイ感じだけど。あとこの装丁では無いみたいなんだけど『電人M』とかあったな。やっぱり心の故郷だなあ(かなりアヤシイ故郷なんだけど←ソコがいいんじゃない!©みうらじゅん)。
追記10/21 乱歩の誕生日ということで、Googleのロゴがこの装丁のバージョンに!やっぱ浸透度が高いんだなあ。そのうちこの辺に保存されるのだろうか。