東京JAZZ GROOVE

 東京JAZZは2002年から行われていて、今年で8回目だそうだ。2006年から東京国際フォーラムが舞台になっているらしい。普段はやや無機質なあの界隈も今日は野外ライブと多くの屋台の参加で気さくな場所に変身していた。東京JAZZは昨日の9月4日から明日まで(エントリ時に0時を過ぎてしまったので正確には今日まで、直した今はもう終わりかけかな)三日間で、大御所やら人気者が沢山揃うビッグイベントである。とはいえこちらはようやく最近ジャズファンクを聴き始めた程度で、R&Bファンから少しジャズに接近しつつあるといった状況である。それでも、GROOVE登場のミュージシャンのアルバムは購入して今日を迎えたでありますよ(アーティストのことが全く分からない状態でライブを聴くのはさすがにもったいないからね)。で、ちょっとだけ感想。
神保彰 カシオペアのメンバーだったんだそうで。音楽を聴き始めた中学生ぐらいの頃(1980年初頭)フュージョンが流行っていたのは覚えている。ただロック指向が強かった当ブログ主にとっては、フュージョンのさわやかな感じはなんだか物足りない上にスカした音楽と思えていた。実際当時のロック雑誌では仮想敵にフュージョンを選んでいたようなところもあった。テクニック至上主義で音楽的冒険心の乏しいフュージョン対素人感覚で野蛮に新しい試みを続けるパンク/ニューウェーヴ、といった感じだろうか。まあそういった面も無くはないのだろうが、物事の一面でしかない。いろいろ音楽を聴いてみるとテクニックがあって悪いことはない。むしろあんまり下手なものは聴く気がしないというのが現在の心境である。それに今から思うと時代的に自分が聴いてきた現代のポピュラー音楽の大部分はフュージョンの影響を受けているものともいえそうだし。前置きが長くなったが、このバンドとにかく巧さはどのメンバーも折り紙つき。ギターはリー・リトナーだし。神保彰は写真のストイックな印象と違い常ににこやかで、それでいてパワフルにたたきまくるのだからギャップがおかしい。みんな軽々と難しいことをやっている感じでゆったりと聴いていられた。というわけでフュージョンもいつのまにやら身近な音楽になっていた(というのも若干嘘があって、その昔中学生だったころ同級生と一緒に聴いていたロックの中にジェフ・ベックやらスティーリー・ダンやらもあったわけで、まあジャンル分けなんていうのはそんなもんです。整理するのにジャンル分けは便利ではあるけどね)。
ジョン・スコフィールド ネットで見ると結構有名な人なんですね。不勉強ですまん。メイヴィス・ステイプルズとの曲もあるみたいなので聴いてみよう。今回は渋ーいニューオリンズもので登場。ちょっと自分には渋すぎますた・・・。
東京スカパラダイスオーケストラ スカパラももう20年以上ですか。wikiで見るといろんな人が参加してるんだな。ステージ、元気いっぱいだったなあ。強力なヴォーカリストを入れないで、みんなで歌うスタイルだとか、スカなんだけどギターが大活躍するところとか、おそらく最初からの計算で生まれたのではない特徴が巧く個性になっているところがいいよね。谷中敦バリトン・サックスのデカさ、加藤隆志の使い込んだギターが印象的だった。
ジョージ・クリントン 真打でございます。メンバーが登場するだけで立ち上がるお客さんが結構いて、P-funkの浸透ぶりに嬉しくなった。自分がP-funkにハマったのはケッタイな格好をしたいかにもアヤシイ連中が高度にスタイルの融合したヒップホップを予見するかのような新しい音楽を作り、時に深遠さを感じさせる歌詞にそれがのっかっている(当ブログのトップにFantasy is reality in the world todayというのもそれである)という奇妙なアンバランスさに魅力を感じたんだろうと思う。でそんなP-funk、ゲイリー・シャイダーはやっぱりオムツだったよ(嬉泣)。御大は昔からダミ声で調子っぱずれにがなるだけなんだけど、独特な吸引力は健在だった。ちなみに時間枠はちゃんと守っていた。コンパクトながら主要な聴かせどころは入っていて、やれば出来んじゃん(笑)。まあ正直言って新しい試みといったものはなく(今から思うと1993年はもっと新しいことをやっていた記憶がある)、今後もこうしたライブになるのだろうが、取りあえずyoutubeでしか観られなかった最近のライブを実体験できたのだから(←これは大きな間違い。2004年ライヴのDVDが出ていて、既にこの時持っていた・・・下に追記※)、信者としては十二分に満足してしまうのだ。Sir Noseを演じているのはダンサーのCarlos"Sir Nose"Mcmurayであること(Sir Noseのキャラクターが当ブログ主の名前の由来なんだけど、イメージしていたのはこの人じゃなくて昔ジョージ・クリントン自身が演じていたゾウの鼻をつけていた方)や花嫁姿のギタリスト(“The Brides of Funkenstein”ってこと?)がAndre Foxxということなどがネットやらパンフレットやらで分かったが、基本的にメンバーは多い上に出入りが激しくてしかも変な衣装を着ていることもあるからP-funk研究はホントに難しそうだ。とにかく楽しかったよ。

※2010 7月4日追記 部屋の奥に放置されていたP-funk2004年のライヴの
DVD、観直してみたら何のことはないこのライヴとメンバーや雰囲気がかなり同じじゃないか!あーもう情けない(半泣)。ちゃんとしたP-funkファンなら当然このDVDを観てからライヴに行くんだよな・・・。まー仕方ないのでそのDVDの感想など。P-funkのライヴでは1976年アースツアーが最高峰であることは間違いなく、近年のものはよく言えばリラックスでルースな感じでテンションは高くないのだが、より楽曲の特徴がよく分かる面もあった。当然なのだが70年代の頃から様々なジャンルの音楽を取り入れていることがよく分かる。このDVDではヴァイオリンのLili Haydnがフィーチャーされている楽曲が目立つが、あまり記憶のないヴァイオリンとのコラボレーションも違和感がない。元々色んな音楽の要素が含まれている為だろう。