小説すばる11月号 特集・ストレンジワールドへようこそ!

 特集タイトルからちょっと面白そうだと思っていたが、なんと若島正選の「義眼」ジョン・キア・クロスが載っているということで、即購入。異色作家短篇集19イギリス篇の「ペトロネラ・パンー幻想物語」の作者であるが、そこの作品紹介で「義眼」についての言及がある。場違いな発言で周囲を凍りつかせる名人ジュリアは、周囲から敬遠され孤独な生活を送っていた。そんな彼女が甥っ子と見に行ったショーのとある腹話術師に熱を上げて、という話。アイディア自体は必ずしも目新しくはないが、独特の不気味な雰囲気に一風変わった味がある。若島正出題のパズルはちょっと分かっていないかも。まあいずれにしても愛すべきB級作家の立ち位置ではないか。
 その他特集短編では綾辻行人渡辺浩弐がよかった。紀行ものはやっぱりみうらじゅんになってしまう。鰻定食話ね。