「私が愛した『刑事コロンボ』」NHK−BS

 以前から観直したかった『刑事コロンボ』、なかなか機会を得られなかったのだが、今週たまたま観たらドラマ終了後に「私が愛した『刑事コロンボ』」と題して2回に渡って、対談番組が行われていた。出演者は関根勤三谷幸喜、デーブ・スペクター。
 コロンボは観たことはあってもはるか昔で制作背景について考えたことはなかったので、この番組でいろいろ知ることが出来た。以下箇条書きで興味深かったこと。
・原作はウィリアム・リンクとリチャード・レビンソンのコンビ。
・最初にコロンボの原型が出来たのは上記二人の作った舞台劇。主役ではなかったが、お客の反応がよかったので、主役に持ってくることを思いついた。
コロンボのキャラクターは『罪と罰』の判事が元になっている。
・「構想の死角」はスピルバーグ監督。これはなんとなく知っていたが「激突!」の前だったんだな。本質的な出世作というか。
ピーター・フォークは演技に対して異常に真面目(完璧主義者か?)で、同じシーンを何度も何度も演じたらしい。犯人や質問を受ける人がうんざりするシーンがリアルなのはこのせいか?
・犯人が初めから視聴者に分かる倒叙ミステリは、当初制作者側に不安視(犯人が分かってるミステリなんて誰が観るんだ?)されたが、犯人役に有名人を使い易い(犯人当てで有名人が出てくると逆に分かってしまう)とか余計なシーンを撮らなくてよいなど、実は制作者側のメリットも大きかった。
・他に不安視された点、「ヒロインやサブキャラクターが乏しい」。人気の出そうなヒロインやサブキャラクターの存在は制作者側の担保・安心材料になるようだ。たとえば古畑任三郎では事件解決後‘ひさご’という料理屋(名前まで決まっていたらしい(笑))に必ず行くという演出が検討されていたらしい。そういうの二時間ものでありそうだが、古畑任三郎らしくないな。
・また「伏線が複雑過ぎる」。これは実際子どもの世話をしながら観ていたりすると、細部が追えなかったりして、たしかに視聴率に響きそう。それで、ラストに犯人にトリックを仕掛けるようなおとり捜査的なシーンが登場するわけである。つまりそこだけ観れば話が分かるように。実際終盤しか観ていなかった人もいるらしい(三谷幸喜談)。この辺はTVらしいい話で映画だとまた違うことになるのだろう。

さて本編の方、やっぱり面白い(特にこの4日間はコロンボ・ウィークとして人気作を集中させたようだ)。今回はノーカット版らしいコロンボがホームレスに間違えられたり、ボロボロの愛車で捜査のため中古車販売の店へ乗りつけると「引き取りは向こうです」と言われたり、ベタな笑いのシーンも嬉しい。ラストのおとり捜査的なパートは時に過剰で、実はコロンボが相当性格が悪いことが分かる(笑)。