ミステリマガジン8月号(2010年)

 ミステリマガジンの8月号は‘異色作家の最新潮流’(ビザーロ特集)。ビザ―ロのことは全く知らなかったのだが、翻訳家の宮脇孝雄氏によるとスプラッタパンクとの関連があるのではないかとのこと(マシスン、バーカー、ランズデールらの名が挙げられている)。奇妙な味、の中ではホラー寄りの流れなのかな。ミニゾンビ特集もあって特に映画篇では、名前が似たようなものが並んで初心者には分かりづらいゾンビものについていい道案内となりそうで助かる。とりあえず特集の感想を。

「単純機械」カルトン・メリック?世 ある朝目覚めると主人公の両目の脇にドアノブが。看板に偽りなしの変な話。名前もインパクトあるし、これがやっぱり一番かな。 
「大人たちを掘り出して」D・ハーラン・ウィルスン 子どもたちは、数日前に自らを埋めてしまった大人たちを掘り出そうとする。短いけどシュールな雰囲気がよく出ている。短篇を得意としているらしく、期待。
「探偵ミスター・プラッシュ」ギャレット・クック テディ・ベアが活躍するハードボイルド。これどっかで話題になってたなー(ちょっと検索してみたが思い出せなかった)。意外と地味だったな。ハードボイルドをよく読む人だと印象が違うかもしれない(ほとんど読んだことがないので)。
ゲニウス・ロキチェルシー・クィン・ヤーブロ 1894年に建てられたという家に引っ越す姪夫婦を訪ねたら。これは紹介にもあるように伝統的な(?)奇妙な味系。傑作というほどじゃなきけどこの手は当然好き。
そしてゾンビ特集から一篇。
「100パーセント・ビーフのパティをダブルで」ジェイ・レイク ゾンビになったジェレミーには悩みがあった。これは可笑しいです。ゾン子さんが書いた小説かと思ったよ(笑)(もちろん特集でも本人登場しているけど)。

他に麻耶雄嵩インタビューも載っているし、満足度高。