『アインシュタイン交点』 サミュエル・R・ディレイニー

 再読。遠未来の地球、文明の退行した世界の中、主人公たちは穏やかに暮らしていたが・・・。
 1996年に邦訳され(1967年作)たが、実際に最初に読んだのはそれから5〜6年後で今から10年位前。全く分からなかった記憶があるが、ダールグレンもいちおう目を通したしということで再挑戦!
 しかしやっぱりよく分からなかった(笑)。そもそもこんな話だったけ(笑)。ただドラゴンのシーンなんかはなかなかよかった。他にもいくつか気づいたこともある。本書も主人公はディレイニー自身の分身と考えてよさそうなこと、ダールグレンのように自伝的な要素をはらみつつ現代アメリカを神話的に描こうとしていること、初期のスペースオペラとダールグレンのような文学的な試みが交わったような印象があること(まさしく交点?)など以前より少し分かったような気がする。主人公たち(「人」じゃないけど)が失われた人間の文化を模倣して取り込もうとしているのに巧くいかないという哀しい場面などには、どのコミュニティからもよそ者として扱われてしまうディレイニー自身のせつない思いをみるような気もした。