『マイラ』 ゴア・ヴィダル

 新潮 2011年 10月号 映画秘宝 2011年 10月号 ゴア・ヴィダルインタビューを読んで思い立って購入し読了。 1968年に発表された性転換で女になった主人公がハリウッドを舞台に巻き起こす騒動を描いた諷刺コメディ。当時としては先鋭的な内容でそうとう売れたらしい。黄金期を過ぎて退廃のみられるハリウッドと変革の時代がかけあわされアメリカらしいブラックユーモア小説になっている。後半に若い男性を身体検査と称していたぶるSMシーン(かなりしつこくて笑った)から話がノってきて、ちょっとした仕掛けもあったりして大変面白かった。
 性に関する考え方が当時とは異なるため今読むとセンセーショナルというより、クスクス笑えるという感じ。一方で随所に20世紀の欲望
といったものが垣間見えるため、SFファンとしてはJ・G・バラードとの共通項が多い印象がある。

※エピローグでの男にもどってしまってのハッピーエンドには(コメディとしての一般受けはいいだろうけど)疑問も残るが・・・。
 あと上記の20世紀の欲望は小説内に出てくるハリウッド・肉体改造・交通事故といったところ。また欲望むき出しの中年女性が出てくるのもバラードに似ている。