‘没後150年 歌川国芳展’森アーツセンターギャラリー(六本木)

 歌川国芳、といってピンとこなくても・・・この絵の人といえばわかるはず。

Kuniyosi

 ね!見たことあるでしょ。(ちなみに「みかけハこハゐがとんだいゝ人だ」という題名がつけられている)
 というわけで幕末に活躍したこの方、ユニークな発想と技法で近年大人気らしい。前期と後期があって内容が異なるのは知っていたが時間がなくて後期だけ観て来た。HP
 想像以上にボリュームたっぷり、ジャンル別に第1章から10章まである。うーん時間が足りなかった・・・。中でもやっぱり面白いのはダイナミックな構図とデザインが目を引く第1章武者絵、西洋絵画の技法をとりいれた斬新なアングルの第6章風景画、そして上の絵のようなや見立てや生き物の擬人化と洒落っ気たっぷりの第8章戯画(「化物忠臣蔵」欲しい(笑))がよかったなあ。
 この人の絵は脇に登場する亡霊や鬼や化物が情けなかったりかわいい感じだったりするのもいい(「大物浦平家の亡霊」の上の部分の亡霊を観よ→図8(笑))。

 というわけでいい展覧会だったのだが、一つ気になったのは場内の解説に「・・・実在の人物だけでなく、当時の小説からも題材を取るようになり・・・」みたいな表記が書いてあった事。うーん近代小説のはじまりは明治以降なのでは。ちなみにそこの部分の英訳ではnovelになっていたねえ。図版買ったんだけど冒頭の解説では似たような内容で<実録や講釈>となっていた。これなら分かるんだけどね。英訳では伝える内容としてnovelでもいいかもしれないけど(古くからあった言葉のようだし)、日本語だとちょっと違和感。