80年代HR/HMアルバム(多分)二十番勝負 その?1986〜89年

 この頃になるとブログ主はHR/HMというジャンルからやや離れていくのだが、調べてみるとリアルタイムで聴いたアルバムも結構あった。まだ全米チャートとかで出てくる音楽とかは聴いていて、そこにHR/HM系がよく登場するくらい売れるようになっていたということだろう。

13.“The final countdown” Europe(1986年)
 Heartもそうなんだけど、こんなに売れてたんだなーと30年経って驚くようなタイプのアルバム。タイトル曲は25カ国で1位っていうんだけど・・・なんか行進曲みたいで運動会とか連想しちゃってなんか盛り上がれないんですよね。全体的にも手堅いというか野暮ったいというか。褒めるところというと、ボーカルの声質が聴きやすいかな。高音で押すタイプは得意ではないのだが、この人の声はキンキンしなくていい。


14.“Reign in blood” Slayer(1986年)
 スラッシュ四天王(というくくりが有効なのか自信がないが)の中で一番コアなメタルファンの信頼を得ているのがこのSlayer(周囲のオヤジメタルファン調べ)。たしかに凄い。歌詞もいかにもな内容だし、驚異のスピードでスラッシュ道まっしぐら、間違いなくスラッシュの極北。しかし・・・圧倒されるが、どうも押し一辺倒だと趣味的に合わないのう。熱狂的にヘッドバンギングすると気持ちいいのかもしれないが、その元気は既に無く(苦笑)。




15.“Master of puppets” Metallica(1986年)
 商業的成功を収め、その名前の分かりやすさもあって(笑)、たぶん<メタル>として認知された最も有名なバンドなのではないかなあ。おそらくHR/HMの歴史を自明のものとして、その蓄積の上で音楽を作った最初の世代で最も成功を収めたバンドというイメージがある。ストレートな反戦のOneや子どもの悪夢を題材にしたEnter Sandmanのようなヒットを生むというようなジャンルの枠からはみ出す部分がなかなか面白い。元々ちょっとは聴いたことがあって、さらに数作今回聴いた感じでは、Metallicaには初期Iron Maidenの良質な実験性が引き継いがれている気がした(影響を受けたらしい) 。曲の転調とかギターの音とか似ている(特にOrion)。そういうわけでもっとこのバンドを聴いてみたくなった。


16.“Hysteria” Def Leppard(1987年)
 商業的成功ということではこれも凄いね。全世界で2000万枚だそうだ(でもMetallicaのブラックアルバムの方が売れてんだなあ。ちなみにHR/HM売り上げベスト20)。当初ボーカルの歌い方やミドルテンポの曲のベーシックなタイプの曲が多いこととどちらもJohn Robert "Mutt" LangeがプロデューサーをしていることからAC/DCに似ているといわれていたが、"Mutt"かかわったPyromaniaと本作ではかなり過剰な装飾にほどこされたサウンドでシンプルなAC/DCと受ける印象は大分違う。元々ポップなセンスを持つバンドだが、上記2作でさらに売れやすい意匠を身にまとったという印象だ。そしてPyromaniaでは地方出身の女の子が慣れない濃いメークをしているイメージだったのが、このHysteriaでは濃いメークながらがセレブっぽくアップグレードされたというような感じだ。大物プロデューサーの"Mutt"が、能力はあるがスーパープレイヤーやカリスマリーダーのいない扱いやすいバンドを手中にして「ハードロック版の“Thriller”をつくる」という狙いで製作し、ものの見事に数々のシングルヒットを出してアルバムである。唯一の問題点は長過ぎる点でお手本のThrillerより20分も長い(笑)。
 交通事故で左腕を失ったドラマーのRick Allenが全く問題なく復帰していたのにも驚かされたが、事故前にPyromaniaのヒットの勢いをかって来日した時にDef Leppardのコンサートは行ったことがある。スタープレイヤーがいない分全員野球というか、小さい演出も上手く使ってどんどん観客を盛り上げていくあたりアルバムやビデオの派手なイメージと違いライブ叩き上げの実力を遺憾なく発揮していて感心した覚えがある。そういう意味では本質的にはAC/DCと共通するところは大いにあり、"Mutt"はやりやすく感じていたかもしれない。


17.“Apetite for destruction” Guns N'Roses(1987年)
 衝撃的なデビュー作だったなあ。メタルっぽいハードさじゃなくてエアロスミスに近いようなアメリカのルーツロック風味の不良っぽさが凄く新鮮だったような。Gunsは割とSweet child of mineとかParadise CityとかPatineceとかミドル〜スローな曲がいいんだよね。Axelの歌声も変化に富んでるし、Mr.BrownstoneはBo Diddley beat入ってるしなかなか技あり。続くミニアルバムGN'R Liesもアコースティックでカッコよかった。その後はゴタゴタ続きでどうにも興味が持てずあんまり聴いてないんだけど、このアルバムの衝撃は忘れられない。


18.“Keeper of the seven keys part1 & 2(1987、1988年)
 今回初めて聴いてみた。コンセプトアルバム的なものも聴いてみようかと思って。しかし1〜2度くらいでは内容までは把握できなかった(笑)。しかしプログレ修行が甘い身として多少身構えたんだけど(例えばQueensrycheのデビュー作とかピンと来なかった)、非常に分かりやすい曲が多くて聴きやすかった。クラシックの要素を上手く入れて適度にポップでメロディアスで。いいんじゃないかなあこのバンド。

19.“Vivid” Living colour(1988年)
 P-funkファンとしてはBlack Rockは別文脈で語りたい気もするんだけど、これ大いに売れたんだよね。この時代に黒人のハードロックが注目された証拠なんだろう。ブログ主はFishbone命なので売れたLiving colourとRed hot chili peppersには未だに微妙な思いがあるんだが(<しつこくてゴメン)、改めて聴くと完成度が高いしミクスチャー的な聴き所にも富んでいる。インテリのVernon ReidにFishboneの様なハッチャけを期待するのは無いものねだりだしね。他のアルバムも聴いてみたけど、やっぱり面白かった。また纏めて聴いてみたくなった。このバンドはライブを一度観ておくべきだったなー。




20.“Pump” Aerosmith(1989年)
 ちょっと登場させるのが遅すぎたかな?1985年からの復活劇はロック史に残るものだけど一番好きなのはこれかな。心なしかビートが軽快な気がするんだよね。Funk好きだからビートはあまり重過ぎない方がいい。まあ復活後のアルバムはどれもいいファンキーな曲が入ってると思うよ。ファンキーハードロックということではレッチリの先輩といってもいいのかもなあ。
 






 

 久しぶりにまとめてHR/HM聴いたが割と面白かった。あ、それからあくまでも80年代の体験で止まっている部分が多いので、熱心なHR/HMファンの方は多少の事実誤認にも大らかな気持ちでの対処希望。かなりお腹いっぱいになったので、親切なひと是非おすすめメタルしないように(笑)。