アラン・トゥーサン ライブ@ビルボードライブ東京

 良かった〜♪
 最初にちょっとしたトラブルの話。ビルボードライブは基本的に19時(1st)と21時(2nd)開始の2部構成からなる。で、ホームページの事前情報では1stで他のミュージシャンに提供した楽曲中心で2ndでは『サザン・ナイツ』を再現ということになっていた。となると1日で2セット押さえておくかと思い、10/15に両方連続してチケットを買った。1stが『サザン・ナイツ』の再現なのでどうも変だなあと思ったら、2ndも同じセットが始まり間もなくお店の人が耳打ち、「申し訳ありませんが、手違いがございまして、これから同じセットになってしまいまして・・・。ご希望があれば別のセットとなる明日の1stとお代えすることが出来ますが。」とのこと。今回2セットやることはやるが組み方が違っていたということらしい。うーんと迷ったが、既に聴いたライブが素晴らしかったしもう一方のセットも聴きたくなったので連日参加する方を選んだ(2セット連続して取った一人一人に声をかけてお詫びしていた)。後からここなどを見ると15日は1stと2nd取り違えたとかの話もあり、それはともかく見なかった2ndの方が長かったのは残念な気もしたが・・・→  http://black.ap.teacup.com/sumori/1232.html
 それから16日の方のセットリストはこちら http://black.ap.teacup.com/sumori/1230.html
 そういうわけでトラブルには正直参ったが、いずれにしてもそんなことは吹き飛ばす大大満足の2夜であった。それからメンバー表はこんな感じ。http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail2&event=8190&shop=1

 まず初日。こちらは『サザン・ナイツ』再現。ド派手な赤ラメのジャケットで登場の御大。もちろん名曲‘Last Train’から始まったが、その歌声の若々しさにびっくり(あとで確認したら74歳だ!)。プレイも全く衰え知らずで、軽妙に曲を奏でる姿が何とも粋で、時折みせるちょっとした仕草がチャーミング。タイトル曲が中国音階を使っていて、全体に無国籍な感じがあるのも斬新だよなあ(1975年のアルバムだからね)。途中のジングルっぽい部分まで再現されてたのがおかしかった。ソウルシンガー特有の力感あふれる歌唱ではないだけに(聖域も広いとはいえない)、かえってポップスファンやロックファンに受け入れやすかったのではないかと思われ、それも年齢による衰えを感じにくい原因かもしれない。本職シンガーではないのが幸いしたともいえそう。バンドのプレイも前面に出てくる派手さを出さずに静かにそれでいてグッとくる音を聴かせる。特にサックスのゲイリー・ブラウンの音は心地よく、サックスとはこんなに素敵な楽器だったのか!と目からウロコが落ちるほど。実は大変なキャリアのベテランらしく、それも納得(→ http://ameblo.jp/guitaryakuza/theme-10018908617.html)
 さてそんなこんなあっての2日目。今度は他のミュージシャンへの提供曲・・・ということだがソロ名義の曲とかいろいろといった感じなのかな?(上記のセットリストを書いているHPによるとこちらがいつものライブの内容らしい)。ともかく、『サザン・ナイツ』以外ということで一部曲が被ってはいたが、多くの違った曲が最高のプレイで聴けたのでこの日も大満足。特にSoul Sister、Just A Closer Walk With Thee、Mr. Mardi Gras Man(マルディグラの仮面をお土産に配ってた!欲しかったなー)辺りがよかったなあ。やっぱりゲイリー・ブラウンは素晴らしかった。
 アラン・トゥーサンの曲ってコンパクトに色んな要素が入っていて、いい意味でカラフルな箱庭のような美しさがある。ブラックミュージックの一部にある豪快さダイナミックさとは味わいが違い、そういった辺りは日本人のメンタリティにしっくり合うのではないかなあ。
 ファンク好きながら、P-funkのようなエグイものにハマってしまったために、ニューオリンズファンクはまだあまり聴いていない(大昔に日比谷公会堂でドクタージョン&ネヴィル・ブラザーズという豪華な取り合わせを見たにも関わらず・・・短かったけどね)。これから楽しみが増えた。

※それにしても、ゲイリー・ブラウンがよかった。ああいう音を聴くと、これまで聴いてきたロックバンドなどであまり上手くないプレイヤーがこれみよがしにボワーッとブロウするようなものがいかにもがさつに思えてしまう(例えばThe Bossの相棒だった・・・、ファンの方ゴメンナサイ)。楽器演奏しないのでそういった部分はぼんやり好みだけで聴いていたが、R&B至上主義者やテクニック至上主義者のような人々の気持ちが分かるような気もした。