昔のNHKのテレビ対談(安部公房×養老孟司)

 すっかり忘れていた数ヶ月前にNHKで再放送されていた1987年の対談番組(これ)。見たので備忘録として記録。45分ぐらいの番組2回分。主題は社会論的なものと言語論的なもの。
 比較的平穏な時代で楽観的な内容であるのが印象的だが、安部公房の自然科学への肯定的な視点が目立つ。後半の言語論的なものの方がより面白く、「言語=精神であると強調しておきたい」「分子生物学者も文系といわれる言語学者も<精神>の話になると神秘主義的になり、客観的分析から離れてしまう」というような示唆に富んだ内容の発言もある後半のの言語論的なものの方が面白かったな。当時ピジンクレオールへ強い関心を持っていることも分かった(これは番組中に言及のあったチョムスキーの著作からの話なのかな)。
 これをとっかかりに二作ぐらいしか読んでいない安部公房作品にトライしてみるかな。

追記 NHKだからはっきり場所が表記されていなかったが、1回目が昔のサントリー美術館、2回目が箱根山の上ホテルだったのではないだろうか

さらに追記(12/22) ちょっとだが「十分に科学が発展すれば諸問題は解決しうる」といったような発言があり意外な気もした。そこは人間の合理的思考が不足しているがゆえの問題がいくつかあり、そういったタイプの問題は科学技術やシステムの改善で解決しうるという考え方のように思われた。近年の社会情勢を考えると楽観的と揶揄されなくもないが、むしろ非常に合理的に思考する資質がうかがわれた。