『百年の孤独』 G・ガルシア=マルケス

魔術的リアリズム』で詳細に解説されていたので諦めて(笑)読むことに。
次から次へと連なる強烈なエピソードが入り組んで頁を追うごとに密度が高まり、全体は濃密なスープのようでこちらの力不足もありまだまだ消化し切れていない。が、口承伝承のような幻想的魅惑的な個々のエピソード、それでいて侵略・戦争・経済問題・科学技術など変化の大きかった20世紀現実の見事な写し絵になっている技巧、見事な構成などなど疑いなく歴史的な名作だということは分かる。後には(既に?)「20世紀を振り返ってみる」という作品として評価される内容だと思うが、同時代にそれを書くのはそうとう時代を超越して本質をとらえる視座が必要でガルシア=マルケスの驚異的な力を感じさせる。そのためか一部には時に予見的と感じさせる箇所もある。それでいて読みやすく笑い満載なんだから恐るべし。訳者解説も素晴らしく、そこにも言及されているが実は時間線はリニアーでオーソドックスなつくり。一方、日本ではあまりないが、子どもに同じ名をつける(なになにJr.とか2世とかそういうパターン)ことによって円環構造を想起させるようになっているのも面白かった。特にラストが鮮やかで好きだなあ。コロンビアの歴史や作者の他の作品を読むともっと深く読み込めそうだ。