ディスカバリーチャンネル<SF界の巨匠たち>第四回アーサー・C・クラーク

 

第四回はクラーク。
 クラークについては実際の科学技術を的確に予言、というよりも卓越したアイディアで現実に影響を及ぼすほどの人だったので内容的にこのシリーズでは最も作品と現実が密接に結びついている回。(自伝や伝記をまだ読んでいおらず、番組を追っているだけなので不正確な記述があったらゴメンナサイ)
 10代にして当時は月に人類が行くなどという馬鹿げた事を考える集団だと思われていた英国惑星間協会に所属、第二次大戦中にはレーダー技師として活躍、また1953年に結婚するもすぐに破局(番組では仕事を優先し過ぎた生活のため、とかいうことになってたが・・・)、その後スリランカへ移住したことなどが実人生の紹介としてあった。また
 科学技術については通信衛星のアイディアについてその先駆性が評価されていることが触れられていたが、フィクションと実際の科学技術では哲学的なSFとして評価される「幼年期の終わり」と宇宙の生命体の研究、「2001年宇宙の旅」と宇宙旅行技術や人工知能の研究(IBMの<ワトソン>)、「楽園の泉」と宇宙エレベーター、「宇宙のランデブー」と宇宙監視技術(<スペースガード>)。24歳の時に沢山の防空気球が飛んでいるのを目撃したことが「幼年期の終わり」での宇宙船出現のイメージにつながっていること、ジェントリー・リーとの出会い、月着陸ねつ造のうわさを否定するユーモアあるコメント、クラークの第三法則、予言の難しさについて語る姿なども登場。宗教に寄らず人類の運命を探求する科学的かつ哲学的な視点への賛辞があった。
 リドリー・スコットが元はそれほどSFファンではなかったという発言がちょっと面白かった。クラークはまだ十分読んでいないんだよなあ。科学技術に対する鋭い視点の一方で深遠な彼のビジョンについてまだまだ分かっていないんだなあと思ったが、その科学アイディアについても理解していないということに気づいてしまった回でもあった(笑)(番組自体は今回も文句なく面白いので、ホントに個人的な雑感)