『ページをめくれば』 ゼナ・ヘンダースン

 名前をひらがなに変えました(深い意味はありません)。
  ゼナ・ヘンダースンといえば「なんでも箱」だが、初読時にはよくある話でさほど傑作とは思えなかった。その頃は誰に言われたわけでもないが、とんがったものや小難しいものを評価している方が何となく格好がいいという気分であったので、単純な話だと感じたし、全体を通してのピュアなトーンも気恥ずかしく感じられた。その後いろいろあって(まあ年をとったということかもしれない)、孤独な子供たちの話というのがSFの主要なテーマであるということをだんだん実感するようになった。デス博士の島その他の物語だってそうだし、スタージョンティプトリーにだってあてはまるかもしれない。というわけで、「なんでも箱」は自分の中ですっかり名作となった(<調子いいなあオイ)わけだが、そのヘンダースンの短編集。
 学校の先生という経歴のイメージ通りの生真面目さが良くも悪くも目立つが、編者(中村融氏)の狙ったように本書はヴァラエティに富んでおり、ホラーやコメディもいける人であることは納得。でも本領は子供、しかも孤独な小さい子供の話で、教師生活の長さが等身大の子供を表現することに厚みを加えている。そうした意味では、子供の超能力ものという、あまりにはまり過ぎのデビュー作「おいで、ワゴン」や<物語と子供>という(おそらく編者好みの)テーマをあつかった表題作、不仲の父母に苦しむ少女の姿が痛ましい「先生、知ってる?」などが印象深い。

個人的読書さんからトラックバックを頂きました。有難うございます。沢山読んでおられますねえ。当ブログも見習わねば。