中村融

『時の娘』ロマンティック時間SF傑作選

中村融さんのアンソロジー。すぐ購入したのだがちょっと遅れて読了。 ロマンティック時間SFっていうと梶尾真治「美亜へ贈る真珠」とか映画「タイムアフタータイム」とかの印象かなあ。確かにそういった甘酸っぱい青春ものの香りがする作品もあるが、技巧的だ…

『洋梨形の男』 ジョージ・R・R・マーティン

絶対面白いだろうと期待して読み始めて裏切られないというのは幸福なことだ。6編どれも良く抜群のリーダビリティで、一気に読める。短編好きの自分内では年間ベスト(3?5?)内に確実に入る。特に良かったものに○。「モンキー療法」 ケニーは食べることが大好…

<幻想と怪奇>ミステリマガジン8月号

基本的に短編集が好きなのだが、特にいろいろな作家のものが入った良質のアンソロジーは、様々な味が楽しめるバイキング料理のようなところが嬉しく、なんだか得をした気分になる。中でも中村融さんのコースは大層美味で、ご存知の通り評判が高い。さて今回…

『千の脚を持つ男』 中村融編

The Monster Bookという英題もついている、中村融編の怪物アンソロジー。当然楽しくならないわけがない。あとがきも心なしかお気に入りの作品を並べて遊んでいる視点がいつもより強いように感じられる。解説でウェルズ「海からの襲撃者」やバーカー「父たち…

『ページをめくれば』 ゼナ・ヘンダースン

名前をひらがなに変えました(深い意味はありません)。 ゼナ・ヘンダースンといえば「なんでも箱」だが、初読時にはよくある話でさほど傑作とは思えなかった。その頃は誰に言われたわけでもないが、とんがったものや小難しいものを評価している方が何となく…

『影が行く』

記念碑的作品。このアンソロジーの高評価から翻訳SF短編出版が安定供給されるようになったと思っている。20世紀SF、奇想コレクション(など)へと続く中村融ブランドの確立ということも出来る。多くは1950年代以降の作品で占められ、モダン・ホラーSF集…

『地球の静止する日』SF映画原作傑作選

SF映画原作でレアなものを持ってくるという、まさに異色系短編集が売れている(らしい)今だからこその企画。映画は全て未見という不勉強さですが、小説のみでも十分楽しめる。最注目は珍品‘殺人ブルドーザー’。これほどまでに熱っぽくブルドーザーが描かれ…