『未来警察殺人課2』 都筑道夫

 以前感想を書いたものの続篇。やっぱりあの手この手で飽きさせない。

「マンハッタン・マンハント」 新しい興奮剤を発明した天才医師に犯罪傾向あり、というこで星野はニューヨークへ。新薬をめぐる陰謀があるのか?派手なアクションが楽しい作品。
「空白に賭ける」 暴力的な傾向のある日本人数学者がモナコの病院に入院した。休暇中の星野が出向くと、その数学者は賭博必勝法を実験しに来たために監禁されたのだという。これまた二転三転、驚かされる。
「殺人ガイドKYOTO」 マジック・フェスティバル最中の京都の古寺で、審査員が消えた。同じく審査員として参加していた星野は。先住民がつくったという愁離院の五層閣の描写がいい。オチも好き。
「ロスト・エンジェル・シティ」 古くからの友人がいるLAにやってきた星野だが、なぜか警察に捕まりそうになる。その原因とは。思いのほか苦いラストが印象深い。
「私設殺人課」 観の覚えのない結婚詐欺の嫌疑をかけられた星野。どうやら似た顔の人物がいるらしい。これまた息もつかせぬ鮮やかな展開。見事だなあ。
「ワイキキ・ワンダーランド」 ハワイ諸島のタボ島で十二人が行方不明となった。ほどなく誘拐犯は捕まり、一件落着かに思われたが。つまらなくはないがやや既視感のある話。
「有毒夢」 オレンジに染まるハイウェイを車で飛ばす星野。自分が麻薬を飲まされたのではないかと不安にさいなまれている。次第に迫ってくる山は実は城壁のようだが、それが動いているのはどういうわけだ?これは非常にユニークな作品。一種メタフィクショナルなつくりなのだが、キチンとミステリ的にも処理されているところに感服。さすがである。
「赤い闘牛士」 闘牛場で星野たちが見張っているのは貴賓席にいる大企業の会長。彼には強い殺意があるという前情報があったが、病院の検査ではシロだったのだ。SFミステリらしい作品というべきかな。

 さすがにいろんな手を持っている作家だ。前作同様楽しめた。