『フランケンシュタインの子供』

いくつか問題のあるアンソロジー。ひとつはシェリーの原典関連のものと映画関連のものが混在していること。もうひとつは、テーマに沿って集めて歴史的な流れを、というのは判るが結果的に古い作品と後の時代の普通のSFとで雰囲気に落差がありバランスを欠いていること。さらに人造人間といってもバイオものとロボットものでのテイストの違いも気になる。シェリーが2作あるのもおさまりが悪い。個々の作品のチョイス自体は納得出来る点もあるので、テーマアンソロジーって結構難しいんだなと思う。(テーマに逆にしばられてしまうというか)
結果的にはそのシェリーの2作、機械仕掛けの描写がねちっこいメルヴィルの「鐘塔」、これぞマッド・サイエンティスト!のラヴクラフト「死体蘇生者 ハーバート・ウェスト」など古いものが楽しめる。正直後半は今ひとつで、まあ要するにマニア向け、というわけ。

追伸 フランケンシュタインについてをリンクさせていただきました。