NHK-BS<ソウル・ディープ>第4回サザン・ソウル

 さて今日も<ソウル・ディープ>。頑張れ自分w。第4回はサザン・ソウル。中心はオーティス・レディング
 南部テネシー州メンフィスのSTAXは地元の小さなレーベルだったが、アトランティック・レコードのとの提携により次第に力をつける。オーナーの一人エステル・アクストンは戦略家ではなかったが、ミュージシャンを公平に評価する眼力を持っていた。まだ黒人差別の根強い南部だったが、STAXは「砂漠の中のオアシス」のような存在で白人ミュージシャンと黒人ミュージシャンが協力して音楽を作っていた。その代表がSTAXのバックを主に担当していた白人黒人2人ずつのブッカー・T・ザMG’sだった。そしてジョニー・ジェンキンズが連れてきたオーティス・レディングの歌にスタジオ・ミュージシャンがたちまち魅せられ(自分のレコーディングらしかったジェンキンズ気の毒)、瞬く間にSTAXのスターとなる。彼のエモーショナルな歌唱は人種を超え人々の心をとらえ、また音楽教育を受けたことがないにも拘らず各種楽器パートを作曲出来るアイディアを持った天才であった。
 STAXが活気を呈する中、アトランティック・レコードのジェリー・ウェクスラーはヒット曲に恵まれないウィルソン・ピケットSTAXに連れてきてレコーディングさせるという試みを行う。そしてIn the Midnight Hourの大ヒットが生まれる。それに気をよくした彼は今度は乗り気ではなかった都会派のサム&デイヴを連れてきて、アイザック・ヘイズやデヴィット・ポーターによりHold On, I'm Comingのヒットを飛ばす。
 また同じ南部のアラバマのマッスル・ショールズからパーシー・スレッジがWhen a Man Loves a Womanを出す。その成功でマッスル・ショールズが注目を集めるようになり、ジェリー・ウェクスラーは才能がありながらヒット曲に恵まれずにいたアレサ・フランクリンをマッスル・ショールズのフェイム・スタジオに連れてくる。南部メンフィス出身のアレサにとってこれは転機となり、レコーディングのゴタゴタもあったがI Never Loved A Woman(The Way I Love You)と Do Right Woman-Do Right ManがAB面となったシングルに結実し、彼女の最初のビッグ・ヒットとなる(後者の作曲者としてクレジットされているダン・ペンの語る合同で作り上げた光景が美しい)。ブレイクした彼女は黒人そして女性の地位向上を目指す人々の心の礎といった存在となった。
 着実に人気を増していったオーティスは、観客はヒッピーばかりというモントレー・ポップ・フェスティバルで好評を博す。音楽はさらに人種を超えた融合をするようになり、オーティス自身も新境地ともいえるThe Dock Of The Bayを作曲する。完成の前に飛行機事故で突然亡くなってしまったオーティスの遺作を悲しみの最中に完成させたのはブッカー・T・ザMG’sの白人ギタリストスティーヴ・クロッパー。曲はオーティス初のNo.1ヒットとなった。ほどなくマーティン・ルーサー・キングが白人に暗殺され、人種融合の希望を象徴となっていたSTAXの一つの時代が終わりを告げる。
 オーティスってThe Dock Of The Bayは名曲だし、いい曲は多いと思うんだけど今一ついまだに偉大さが分かんないんだよなあ。たぶんソウルの世界を分かりやすく提示したんだろうけど。貪欲にブラックミュージックの可能性を広げたアトランティックは立派だなあ。あとアイザック・ヘイズがこの頃から活躍してたのは知らなかった。アレサ・フランクリンオバマ就任式でも登場したから、歴史上の人物にすらなり得るな。
 全然関係ないけどパーシー・スレッジの顔は昔のジャケット写真のまま年を取っていてとても素敵だったわんw