ファンタジー、幻想文学

『バルタザールの遍歴』 佐藤亜紀

第二次大戦前、ベルリン。一つの肉体を共有する双子であるバルタザールとメルヒオールは傾いた公爵家に生まれ、無為な日々を過ごし転落の道をたどる。身内にも見放され、ウィーンを追いだされた二人は・・・。 この一つの肉体を共有する双子という設定に首を…

『空の都の神々は』 N・K・ジェミシン

空の都の神々は (ハヤカワ文庫FT)著者 : N・K・ジェミシン早川書房発売日 : 2011-10-21ブクログでレビューを見る» 兄弟妹である三神の争いで光の神イテンバスが勝利をおさめ、僕であるアラメリ家の人々を通じ空中都市スカイから<十万王国>を支配していた…

『飛行士と東京の雨の森』 西崎憲

飛行士と東京の雨の森西崎憲筑摩書房発売日:2012-09-10ブクログでレビューを見る» 小説家の他に翻訳家・作曲家と多彩な顔を持つ著者は、異色作家系の短篇を実作でも翻訳でも得意技としている印象があり、本人自身も異色作家という呼称が似合う作家である。…

『黒い海岸の女王』 新訂版コナン全集1 ロバート・E・ハワード

黒い海岸の女王<新訂版コナン全集1> (創元推理文庫)ロバート・E・ハワード東京創元社発売日:2006-10-24ブクログでレビューを見る» 2006年に出された新訂版で、ハワードの原典に忠実な作品を収めた上にエッセイや創作メモや書簡等まであるという、文庫なのに…

『魔法の国が消えていく』 ラリー・ニーヴン

魔法の国が消えていく (1980年) (イラストレイテッドSF〈1〉)ラリー・ニーヴン東京創元社発売日:1980-09ブクログでレビューを見る» 魔法の力の源を「マナ」という限りある天然資源としてファンタジーにハードSF作家らしい視点を盛り込んだ作品。 話す骸骨と…

エルリック・サーガ

とりあえず旧版の『ストームブリンガー』まで読了。それだけでも3年弱かかっちまったなあ。 ま、それはともかく魔剣ストームブリンガーの禍々しさがすごいねえ。あとこれでもかこれでもかと登場人物が死んでいく展開もなんとも。ヒロイック・ファンタジーに…

『信長 あるいは載冠せるアンドロギュヌス』 宇月原晴明

第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。 評判に違わぬ傑作。もっと早く読んどきゃよかった。 両性具有の信長が魔術的な力を背景に戦国時代を制していく。一方、1930年のベルリンでは、アルトン・アルトーの著作と三世紀の少年皇帝ヘリオガバルスについ…

『英国短篇小説の愉しみ』1

3から読み始めたが1もいいね。3の副題は<不思議の薫りを楽しんでください>で、1の副題は<文学の薫りを楽しんでください>。でも中身に大きな違いはなく、幻想的でほの昏い濃ゆい味のおいしい短編が揃っている。(○がおすすめ)「豚の島の女王」○ジェラル…

『英国短篇小説の愉しみ』3

1,2はまだ読んでいない。アンナ・カヴァンが読みたくなったので3を。○が面白かったもの。「輝く草地」○ アンナ・カヴァン 雑草も葉っぱもほっとくとどんどん出てくるよね!今の季節はとくにね!ってそれはともかく。草地を描いても独特の荒涼感が漂うと…

『黎明の王 白昼の女王』 イアン・マクドナルド

イアン・マクドナルド(プログレじゃない方)の長編ファンタジー。異世界とつながる能力を持ってしまった一族(女系)の物語とでもいいましょうか。 時代を変えての三部構成(形式的には四部だが、短い第三部は第二部の続き)で、様々な手記で語られる第一部、語…