2006-01-01から1年間の記事一覧

若島×大森トークショー、『ベータ2のバラッド』

当ブログとしては絶対外せない企画、若島×大森トークショーに行ってきた。事前の告知では《実現不可能なアンソロジーも!?》って書いてあったが、それは対談中に登場した‘失敗作アンソロジー’のこと?(ちなみにそれはやっぱりリストすら出来なかったらしく…

『隠し部屋を査察して』 エリック・マコーマック

まさに奇想の展覧会といった感じの、ある意味呆れ返るぐらいの独創的なアイディアと時に残虐ともいえるようなエピソードが印象に残る様々な物語。管理国家で風変わりな‘隠し部屋’に収容された人々をめぐるタイトル作、やたらとスケールの大きい観光列車(?)…

一冊の本

ここに一冊の文庫本がある。裏表紙には小さい写真が載っていて、革ジャンを来た青年が少し照れくさそうに、でもしっかりと視線をそらさずにこちらを見ている。発行は昭和五十五年十月三十一日となっている。本の名前は「コスモス・ホテル」。みずみずしい感…

『ミッドナイト・ミートトレイン』血の本? クライブ・バーカー

基本的に気が弱いので、副題の‘真夜中の人肉列車’とか、巻頭の‘Everybody is a book of blood:Wherever we are opened,we are red.’とか見ると思わず身構えてしまうが、中身は意外に多彩なホラー短編集だった(もちろん血はいっぱい出てるけど)。表題作や、演…

『キス・キス』 ロアルド・ダール

エゴイスティックな登場人物たちによって繰り広げられる残酷な物語を、巧みな描写と構成で描く。そういう意味で「天国への登り道」「牧師のたのしみ」は鮮やかで、後者の作中での視点の転換などは見事だ。ただ少し違ったもので印象に残るものもある。例えば…

『地球の静止する日』SF映画原作傑作選

SF映画原作でレアなものを持ってくるという、まさに異色系短編集が売れている(らしい)今だからこその企画。映画は全て未見という不勉強さですが、小説のみでも十分楽しめる。最注目は珍品‘殺人ブルドーザー’。これほどまでに熱っぽくブルドーザーが描かれ…

『13のショック』 リチャード・マシスン

英題は‘SHOCK!’で、マシスンといえばやはり恐怖。しかし怪奇や怪異ではなく、SHOCK!であるところがミソなんじゃないかな。という訳でマシスンにキングが影響を受けたのもなるほどの洗練された恐怖小説集。アイディアそのものは古い感じのものもあるが、切り…

「あ〜ん」を好きな短編で埋める

流行遅れなのは承知の上で、短編でやってみた。 あ 雨(サマセット・モーム)い 石の育つ場所(リサ・タトル)う 宇宙の探求(バリントン・J・ベイリー)え エミリーにバラを(ウィリアム・フォークナー)お 終わりの日(リチャード・マシスン)か 完全な真空(スタニス…

06年版オールタイムベストSF

自己紹介代わりに2006年版SFMオールタイムベストSFに関するもの。↑ハヤカワネタばっかですが、そのうち話題が広がっていく予定(^^;)。◎その一 自分の投票内容 カッコ内は全体の結果 ◇翻訳 ○長編1.ソラリス(1位) 2.クラッシュ(圏外) 3.暗闇のスキャナ…

異色な話、その他の物語

早川書房の異色作家短篇集(編?)に代表される、異色作家・短編集や異色・作家短編集といってよい作品集や関連する短編傑作選がここ数年多く刊行されている。それらをなるべく多く読もうとする平凡なSFファンの読書感想日記である。第一回はその早川書房の…